コラム 唾液は何でも知っている

よりよく生きるためのウェルネス・コラム 第8 回

コラム 唾液は何でも知っている

唾液は血液と同じ成分で創られる「唾液測定器」で健康度を測定

唾液は何でも知っている

 昔から「よだれがたくさん出る赤ちゃんは元気」といわれてきたように、唾液はエネルギーの象徴でもあるようだ。確かに「活力」「活性化」「活きる」などに使 われている「活」という字は、「さんずい」に「舌」と書く。つまり唾液のことではないだろうか。大人の場合、なんと1 日に1~1.5ℓ もの量の唾液が出、消化を助け、口臭を防ぎ、虫歯を防ぐなどさまざまな働きをしてくれるのは周知の通りだ。

さ らに唾液は血液と同じ成分で創られているので体内の情報を、血液同様にもっている。今や唾液でストレス度を測定する機械などさまざまな測定器も生み出され ているが、唾液で体の酸化と還元の度合いを測定することにより健康度もチェックできるという「唾液測定器」がある。医療機器として認められているものだ。

この測定器を使い、長い間臨床の現場で役立てているのが、横浜市金沢区で 内科・小児科を専門に診療されている「岡澤クリニック」院長、岡澤美江子医師だ。唾液で体内の酸化還元状態(Oxidation Reduction Potential=ORP) の数値を測定し、10 年間で3500 例以上の症例数をとられてきた。特にものいわぬ赤ちゃんの診断には効果を示すという。

数 値はゼロを中心に、+40mV から+50mV くらいまでが「好適値境界」となり、これ以上の数値を示す場合は、酸化力が高く、健康度が損なわれている状態と考えられる。反対に+40 mV 以下ならまずまず安心。-50 mV 以下ともなれば還元力が非常に強く、「極めて健康体」であることが読み取れる。

今までの調査の結果、数値がよいのは、肉体的にもフレッシュで、毒素が体内にたまっていない赤ちゃん。次に乳幼児、子供、若者の順だそうで、ほかには妊娠中 の女性、母乳の出ている母親の数値がよいという。もちろん母乳で育っている乳幼児は限りなくマイナスに近い数値を表すという。通常、小学校の生徒も含め小 児科の範囲内の子供たちの数値は、マイナスのレベルが多く、高くても+20 mV くらいまでが限度。子供で数値が+50 mV にもなっていたら、かなり具合が悪いと考えられる。

唾液は予言します、100%の確率で・・ 「唾液は情報の宝庫」です

 岡澤医師は、三種混合ワクチン注射や各種予防接種をするときなど、一見、元気そうに見える赤ちゃんでも、実は風邪の前兆ということもあるので油断は禁物と考え、慎重に行い、唾液測定器を役立てているという。

あるとき生後9 ヶ月の赤ちゃんの唾液が「+40 mV 」と、赤ちゃんにしては極めて酸化度の高い数値を示したことがある。そこで母親に聞いてみると、前日から父親が風邪による高熱で寝込んでいることがわかっ た。それが子供に感染していたのだと考えられた。表面的には元気そうに見えても、赤ちゃんの体内には病原菌が入り込み体液を酸化させていることが考察され たわけだ。そのとき、赤ちゃんは発熱していなかったが、予防注射を見合わせたところ、案の定、その夜から熱が出で、注射をしなかった英断を感謝された。 「唾液は予言します。症状が出る前に体の状態がわかるのです。それも100% の確率で」と岡澤医師はいう。

これは大人も同様で、元気そうに見えても異様に高い数値が続けば、そのうち発熱したり異常が起こったりする。腸にポリープやがん、あるいは脳腫瘍、C 型肝炎、肝硬変、糖尿病、アトピー、喘息などの病気を抱えている患者さんは、ほとんど間違いなく高い数値を示すので、極めて早期に異常が発見されるとい う。しかも測定するにあたって、血液を採取するような痛みや緊張感がないのも大きなメリット。風邪やインフルエンザ等にかかってしまうと一時的にプラスの 高い数値が出るが、治療後はすぐにマイナス方向に下がるので、治療効果があったのかどうか、また病気が完全に治癒したかどうかの見極めもつくという。

ほかに抗がん剤治療をされている患者さんの場合も、一見すると元気そうでも、測定器では非常に高い数値(+90~100 mV )を示すので、強い薬を使っていることがわかるのだ。

笑ったり感動したりする生活は副交換神経が優位に作用して還元電位に

体液は常に変化している。心の持ち方や環境、食べ物や睡眠といったいわゆる「生活習慣」や環境によって大きく異なる。特に食べたものによる体内の数値の変化 は明瞭に測定結果として示される。例えば酸性度の高い肉食をした後は、数値がすぐに高くなり、+50 mV から+60mV というかなり酸化された数値を示す。

反対に、日本茶やコーヒー( 砂糖ミルクなし) を飲んだり、ミカンなどの柑橘類を食べたりした後は数値が非常によくなる。これらの食材には酸化を抑える「抗酸化物質」が含まれており、昔から体によいといわれてきたが、唾液測定をすれば、その説がすぐに証明できるわけだ。

嗜好品についても同様だ。喫煙者は一般にプラスの高い数値が出る。100 症例ほどの測定では、喫煙直後は男女関係なく平均的に20~30mV は上がっている。飲酒に関しては、酒の種類やメーカーによっても差異があるが、通常は、飲む前と比べ男女関係なく平均的に20~40mV は上がる。ただし、ビール、ワインなどは、製造メーカーによって異なるもののそれほど悪い数値にはならない。

緑茶の症例数は500 数以上に昇るが、緑茶を飲んだ後の値は、男女の関係なく、マイナス方向に50mV くらい下がる。もともと健康な人の場合、-20mV 前後の値が出ることが多い。特に「抹茶」は健康な人の場合、-30~ -50mV の値が出ることが注目される。ただしペットボトルなどで販売されているお茶については、メーカーにもよるが、プラスの高い値が出て、マイナスに還元されな いこともあるためにメーカー選びも必要なことがわかる。

唾液は何でも知っている

甘いお菓子については、一般的に数値が高くなるが、以前、豆乳プリンを食べた後に測定したら、みごとにすべての人の数値が下がっていたことがある。豆乳がよかったのではないかと推測された。

さらに携帯電話とPHS 等の携帯電話を使用した時の前後値を測定した結果では、携帯電話使用後は、使用前より+60mV 前後唾液の数値が上がってしまう。しかも還元された体調の数値に戻るには、半日以上の時間を要したのである。ところがPHS では、このような障害が若干少なくなるようで、使用前より+30mV 前後上がり、還元

の体調度の数値に戻るには、3 時間くらいを要したが、携帯電話よりもかなりよいことがわかった。つまりPHS のほうが電磁波による電磁波障害が低いことが読み取れる。とはいえ両者とも体を酸化させることは間違いない。

 さらに高電圧線の下に入る前後の唾液は、高電圧線の下に入ると+40mV 前後高くなる。そして、還元の体調度の数値に戻るには、5 時間ほど要したという測定結果もある。電磁波とがんの因果関係なども問われる昨今、体内の酸化還元度から見る限りにおいても、体には悪い影響を与え続ける ことがわかっている。

さらに精神的な影響も見逃せない。通常、私たちの生活はさまざまなストレスに囲まれており、過労や人間関係の緊張などで交感神経が優位に作用し、酸化電位になりがちだ。ところがリラックスしたり笑ったり感動したりする生活では

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